【今夜のピッコロカーズ】
~47歳+テーマワゴン~
さて、仕上がりました。
明日、ランチアテーマワゴンをご納車します。
このクルマは、私が愛車にしていた個体です。
20年前に、新車みたいなV6LSを販売する機会が多くありました。
あの頃の私には、このクルマの素晴らしさの片鱗しか味わえなかった。
20年の歳月が、その間の経験が、私をテーマというクルマの本来の価値を感じられる人間にしてくれました。
2年前、何の気無しに仕入れたテーマワゴン。
ピッコロカーを傍らにして、こんなワゴンのある生活を提案できたらいいな。。と思い、久しぶりに触れたランチアテーマは、当時の記憶を遥かに超える魅力で私を包み込み、たまらずしばらく愛車として乗らせて頂いていた次第です。
乗った瞬間に、この感触を語れずして、ランチアは語れない。。そんな思いがとても強く生じたんです。
2年たった今、ようやく素晴らしい新オーナーとの出会いがあり、売却することに致しました。
ランチアのプロに色々と無理を申し上げながら、キッチリと整備して頂き、今、最後の洗車仕上げを終えたところです。
トノカバーをかけて気づきました。
「あれ、こんなところにPininfarinaってネームが入ってたんだ。。」
トノカバーなんて、閉めた事なかったんですね(笑)それにしても、さりげない。
この、奥ゆかしさが魅力なんです。
ランチアというクルマの奥ゆかしさは、実はとても日本人に合っていると思います。
テーマV6LSは、あのアルファロメオのV6を搭載し、本家より控えめに、つつましく快音を響かせます。
この、書斎のようなインテリアに包まれながら、秋の虫の音を楽しむかのように、部屋の外で聴こえるV6の響きを感じながら移動していると、不思議とじっくりと自分に向き合う事が出来ます。
何も考えずに動かせる事がイタリア車の魅力だと、普段多くの方々に吹聴しておりますが、ランチアテーマは考える時をもたらしてくれるんですね。
そこが、不思議なんです。ランチアというブランドを理解するには、あと10年くらいイタリア車と向き合う経験が必要な気がします。
そんな不思議な魅力に富んだクルマですから、1日の終わりをテーマで締めくくるという人生は、とても豊かなものだと感じます。
さて、これから最後のドライブです。
東北の新オーナーの元へ、私の愛車を届けに参ります。
ピッコロカーではありませんが、元気を与えてくれるピッコロ達と、落ち着きをもたらしてくれるランチアテーマを同時に味わえたこの2年は、忘れることの出来ない思い出となりつつあります。
ピッコロカーとあと1台。
粋なコンビネーションをご提案する事も、重要な役割だなと感じています。